室内環境
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希望通りの素敵な キッチンでも環境が悪ければ快適には過ごせません。安全で快適かつ衛生的な居住空間を実現するためには室内環境の形成に影響する光・熱・空気・音などを効率よく制御する必要があります。キッチンでは調理作業を行うことが主な目的となるため作業空間として適切な環境が必要ですが、オープンキッチンやセミオープンキッチンの場合はダイニングやリビングの室内環境も合わせて考える必要があります。
1.キッチンの採光と照明
キッチンでは調理作業が行われ、また食 品を扱うということからも清潔に保つことが必要なため高い照度が必要です。このため採光と照明をうまく使いながら光環境を整える必要があります。
日本では昔は北側に追いやられていたキッチンも最近ではリビングやダイニングと共に南側や東側など日当たりの良いところにレイアウトされるケースも多くなってきました。
しかし都市部では隣接する建築物などにより十分な日照を確保出来なかったり、夜間や天候により照度が不足することもあり照明器具による照明計画はしっかりと考えたい部分です。
①採光
建築基準法による規定ではキッチンも他の居室と同じ様に床面積の1/7の面積を開口部として設けることが規定されています。
一般的には下記のような工夫が施されますが‥
外壁側にシステムキッチンを置く場 合は、ワークトップとウォールキャビネットの間に横長の窓を設ける。
室内の奥まで光が欲しい場合は、キッチンの側面などに幅は狭くても天井近くまである縦長の窓を設 ける。(この場合はもちろん、防犯対策も忘れずに! )
天窓を設ける。(同じ開口面積でも採光はほぼ3倍得る事が出来ます)
キッチンは家電製品・道具・食器等収納したい物がたくさんあり、窓にするか収納スペースにするかの取り合いです。収納も明るさもどちらも確保できるよう、工夫が必要ですね。
②照明
調理作業が安全かつ効率的に行えるようにすることがキッチンにおける照明の基本的な目的ですがオープンキッチンやセミオープンキッチンの場合はキッチンの照明によって他の部屋の雰囲気を壊さないように気をつける必要があります。照明はインテリア全体の雰囲気を変えたり、疲労を感じさせたりと精神的・肉体的に影響するため十分配慮する必要があるのです。
・独立型キッチンの場合
調理作業優先で考えます。全体照明として50~100ルクス程度、カウンター 前の局部照明が200~300ルクス必要です。注意すべき点は食品の色を正しく見せ手元に影を作らないように演色性の高い照明を用いること。全般照明の光源はインバータタタイプの蛍光灯が適当です。全体を均一に照らしちらつきの心配がありあません。上部キャビネットの扉を開閉する際に邪魔にならないシーリングタイプがお勧めです。手元灯は直接目に光が入らないように手前に幕板を付けたり、自由に角度が変えられるスポットライトが便利です。
・DKの場合
DKでは調理作業が効率的かつ安全に行えることと、食事の場として、食欲が進み楽しく食事が出来る家族が団欒出来るような配慮が必要です。
全体照明は50~100ルクスですがテーブル面には300~500ルクス程度が必要です。この光源は食べ物の色が美しくおいしそうに見えるように演色性の高い白熱灯が適していると思います。
・LDKの場合
LDKでは調理、食事と団欒に加えくつろぎやテレビ、読書などの娯楽に対する要求も満たさなければなりません。リビング部分では全体照明として50ルクス程度がくつろぎにはふさわしいのですが団欒・娯楽には150~300ルクス欲しいのでTPOにあわせて明るさの調節が出来ることタイプの照明が適しています。
・高齢者と照明
JISによる照度基準は健康な成人を基準に作成されています。20代で必要 な照度を基準とした場合、40代ではその1.4倍~2倍、60代では2倍~3倍の照度を必要とします。また、眩しさも感じやすくなるため、強い光が直接目に入ってこないように配置を注意しましょう。
2.キッチンの暖冷房・換気
①暖冷房
キッチン空間は主婦にとって1日のうち早朝から夜までかなりの時間を過ごす場所です。
出来る限り快適な環境で作業が出来るようにしたいものです。
ただ実際キッチンは火を使ったり換気が必要な上に多くのキャビネット類によって専用の機器を設置するスペースがなかったり、床に置くと動線の妨げになったりと暖冷房環境を整えるのは難しい場所です。
特に独立型キッチンの場合はスペースが無い場合が多いため足元温風機や床暖房などが良いでしょう。DKやLDKの場合も同じですが設置スペースが十分にある場合は機器の適切な容量(能力)を見極めて設置しましょう。
②換気
キッチンワークには煙とにおいがつきものです。快適な環境を保つにはしっかりした換気計画が必要です。特にオープンキッチンでは排気量の多い装置を設置するなど、煙やにおいがLDに広がらない工夫をすることが大切です。現在では建築基準法で常時換気が義務づけられていて住まい全体は24時間、強制的に給気と排気が行われるようになっています。キッチンではコンロを使うときはレンジフードを設置して煙や湯気を集めて排出し部屋全体に汚れた空気が広がるのを防ぎます。
換気扇の種類にはプロペラファンとシロッコファンがあります。プロペラファンは軸流ファンの一種で外壁に直接設置することがほとんどです。風量が大きいので一度にたくさんの空気を排気できます。作りが単純で掃除が楽なのも魅力です。
一方、遠心力を利用したシロッコファンは空気を送り出す力が強いのでマンションのようにダクトを利用する場合に用いられます。なお、スムーズな換気を行うにはそれに見合った給気が必要になります。給気口を必ず設けましょう。
ファンの動きを助けるレンジフードには補修率の高いもの、自動運転機能が備わったもの、手入れが楽なもの、さらには熱源のすぐ近くに排気口を設置して煙を拡散させることなく外へ送り出すことの出来る下引き型など様々な種類があります。キッチンのスタイルや使い型にあったものを選ぶようにしましょう。
・換気の方法
建築の換気方式には、自然換気と機会換気の2種類あります。自然換気は自然の風力や室内外の温度差によって生じる気流を期待して行う換気です。機会を使わないので騒音が発生せず、省エネルギーでもあるため居室の全体換気に適しています。ただし風向きや風速、外気温などの外界条件に左右されやすく安定性に欠けるため機会排気との併用が望ましいです。
機会換気は強制換気ともいい換気扇を使って強制的に換気を行うものです。自然換気に比べ風量の確保、安定性の面ですぐれています。キッチンでは排気のみを換気扇により給気を自然換気に頼っている場合が多いですがマンションのような高気密構造の場合には給気を強制的に行ったほうが良いと思います。給気も排気もレンジフードで行う同時給排気式のレンジフードもあります。
機械換気方式の中には給気口と排気口のどちらに換気扇を取付けるかによって3つの方式があります。その違いを簡単にまとめると下のようになります。
| ・ 自然換気方式 | |||||
| 換気扇は使わない | 倉庫、体育館、エコ住宅など | ||||
| ・ 機械換気方式 | |||||
| 第一種機械換気方式 |
| 給気・排気ともに換気扇を使う。室内は負圧に。 | ビル、屋内駐車場、ボイラー室、キッチンなど | ||
| 第二種機械換気方式 | 給気に換気扇を使い、室内を正圧にして、排気口を設け自然排気する。 | クリーンルームなど | |||
| 第三種機械換気方式 (キッチン換気の基本形です。 ) | | 給気口を設け自然給気し、室内を負圧にして、排気は換気扇を使う。 | キッチン、トイレ、バスなど | ||
・換気の対象
全体換気
室内空気が汚染状態にあるときその部屋全体の空気を入れ換え換気することを全体換気といいます。全体換気には自然換気と強制換気の2方式があります。
各部屋ごとに換気設備を設置して必要換気量を確保する「個別換気方式」、局所排気設備と各部屋の自然給気口を組み合わせる「トータル換気方式」、「24時間換気システム」で見られるような一台の換気ユニットで複数の部屋や住戸全体の必要換気量を確保する方式等があります。
局所換気
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キッチン、洗面、バス、トイレなど燃焼ガス、油煙、水蒸気、臭気などを換気扇を使って機械的に排出する方式です。キッチンにおいては加熱機器の上にレンジフードを設置し燃焼ガス等を速やかに排気します。
もうひとつ大切なことは、レンジフードだけではキッチンの排気をまかなうことはできないということです。そのためには上の図のようにキッチン空間全体を換気できる全体換気のための天井組込み換気扇を必ず設けるようにしてください。
キッチンから出る熱や臭いはコンロからだけではありません。調理中にフードから漏れてしまう蒸気を目の当たりにすることも多いと思います。そのためにも必ず全体排気と局所排気を組み合わせるようにしてください。
3.キッチンの給排水
① 給水
給水とは私達が生活していく上で必要な水を建物内に引き込み供給することです。そのためには必要な水量の供給、適正な水圧の確保、水質基準に適合した安全な水の供給などが重要になります。水の用途別使用量の割合は下記の表のようになっています。
水の用途別使用量の割合
| 用 途 | 割合(%) | 用 途 | 割合(%) |
| 飲用・炊事 | 15~30 | 便所 | 10~20 |
| 入浴 | 20~30 | 掃除 | 5~10 |
| 洗面・手洗い | 5~15 | 洗車・散水 | 2~5 |
| 洗濯 | 20~30 |
器具の最低必要圧力
(単位:kPa)
| 器 具 | 必要圧力 | 器 具 | 必要圧力 |
| 一般水栓 | 30 | 自閉水栓 | 70 |
大便器洗浄弁 | 70 100 | ガス瞬間式湯沸器 4~5号 7~16号 22~30号 |
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| 小便器洗浄弁 | 70 | シャワー | 70 |
水圧は適正な圧力が得られないと器具の機能が十分に発揮できず、使い勝手に支障をきたすことになります。反対に水圧が高すぎると流速が速くなりやすくなるので、流水音やウォーターハンマーなどが生じやすくなる。
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現在給水は一部で井戸水が利用されているのを除き、ほとんどは上水道によって供給されているが最近では雑排水や雨水を浄化処理して便器洗浄などに使う、中水の利用が導入される場合もあります。
②排水
私達の生活の上で欠かせない水もその用途が終わったときには、大部分が汚れた水として捨てられます。この汚れた水を衛生的にすみやかに下水道へ排出するのが排水の目的です。排水には大きく分けて3つあります。
・汚 水 便器から排出する排水のことです。
・雑排水 便器からの排水以外のキッチン、洗面、浴槽などからの一般的な排水のことです。
・雨 水 建物の屋根や敷地内の降雨による水のことです。
これらの排水を排水管に勾配をつけ自然流下によって下水道へ流し込みます。
そのための適切な流速と水深は管径と勾配によって決定されます。
③ 給湯
湯はキッチンや入浴・洗面での洗浄作業などのため水と同じように生活には欠かせないものです。
湯を得るには専用の加熱装置から管によって必要箇所に供給される給湯設備が必要になります。
加熱装置にはガス、電気、石油、太陽熱などを熱源として、水を加熱しながら湯を連続的に供給できる瞬間式と貯湯槽に湯を溜めておく貯湯式に分類できます。
4.キッチンの音とゴミ
① 音
音には大きさ、周波数、音色と3つの要素があります。一般に生活に邪魔になる音を総称して騒音といいますが主として不規則な多数の周波数の合成された音であって、誰が聞いても不快に感じる音のことをいいます。快適な生活を送る上で、住宅内に不快な騒音はあってはならないわけです。
しかしキッチンは特に他の居室に比べてさまざまな音の発生する場所です。音の発生源としては主に3つあります。調理作業による音、食器洗い乾燥機等の機械から発生する音、水が出てシンクにあたる音や配管内水流の衝撃音など給排水の音です。
騒音を低減する方法に吸音と遮音があります。
・ 吸音
音が吸収されるのは音の持つエネルギーが熱や振動などの別のエネルギーに変換されるからです。キッチンは水や火を使う場であり、その内装材はたいてい表面の硬い平滑なものが用いられるため吸音には不利です。一般的には天井材として石膏吸音板、ロックウール吸音板などが使われます。
・ 遮音
音を通しにくい材料を遮音材料といい、緻密で重く硬いほど遮音性が高くなります。コンクリート、ガラスブロック、石膏ボードなどがあります。
② ゴミ
家庭内においてキッチンが種類・量ともに最も多くのゴミを発生させます。食材を扱う上で避けられない生ゴミは腐敗しやすく悪臭を放ち、放置すると衛生面にも影響を及ぼします。清潔なキッチン空間を作るためには回収日までいかに使い易く、快適に生ゴミをストックしておくかがポイントとなります。
また最近では環境を大切にするためにゴミを分別し収集する行政も増えています。家庭ゴミ(生ゴミ、燃えるゴミ)、プラスチック、缶・ビン・ペットボトル、その他古紙・古布等に分別され、それぞれ週に1~2回回収されるためそれぞれのストック場所が必要となります。見た目にも美しく、使い易いようにゴミの定位置を考えることはキッチンをプランする際忘れてはならない重要な要素です。
・ 生ゴミの保管
最初の段階としてシンク廻りで生ゴミが発生します。排水口のゴミ収納か三角コーナーにたまった
ゴミを保管場所へ移します。その保管場所としてキッチンのキャビネット内にゴミ箱を設置する場合はまめにゴミを捨てる、密閉式にするなど臭いがキャビネット内に広がらない配慮が必要です。
使い勝手としてはキッチンの扉を開けた後、ゴミ箱のふたを開けて、捨てるといった3アクションでは不便です。また濡れた手のままで素早く捨てられるように配慮されたものが望ましいです。
キャビネットを設置せずに一部をオープンにし足踏み式のゴミ箱などを置くとういのも良いアイディアです。最近では対面式のキッチンが増えておりますのでシンク下やシンク脇にこのようなスペースを設けるとLD側からは死角になって見えません。使う時だけ出して、使わない時は入れておけば邪魔にもなりません。
対面式ではないオープンキッチンの場合はそこのゴミ箱が入っているキャビネットにカーテンをつけたり、インテリア的にポイントとなるようなデザイン性のあるゴミ箱を置いたりすると良いと思います。
・ 生ごみの処理
最近では家庭でも出来るゴミの減量の手段として、生ゴミ処理機が注目されています。処理の方法として熱で乾燥させて体積を減らすものやバイオ処理によって分解・消滅させてしまうものがあります。自治体によっては、生ゴミ処理機の購入に対して補助金制度が設けられている場合があります。購入をお考えの方は一度自治体に問い合わせてみると良いと思います。
また、ワークトップ前の壁や出窓などを利用してキッチンシューターを設けているところもあります。外部にゴミ保管庫がついてあり、意外と大量のゴミを収納できます。
また、悪臭がでないように、換気扇が組み込まれており投入口の扉をあけると自動で回るものもあります。
ゴミを粉砕して下水に流すディスポーザーもありますが、下水末端での処理に対する負荷が大きく認可していない自治体もあります。